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IEEEマイルストーン
IEEE Milestones in Electrical Engineering and Computing は,IEEE の広範な活動分野である電気・電子・情報の分野において達成された画期的なイノベーションの中で,開発から少くとも 25年以上経過し,地域社会や産業の発展に多大な貢献をしたと認定される歴史的業績を表彰する制度として IEEE 創立 100周年を翌年に控えた 1983年に創設されました.その狙いは,優れた技術成果に光を当てると共に,それを生み出した技術者に対する社会一般の理解と評価を高めることにあります.
電卓の先駆的開発
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全トランジスタ式 (1964) を皮切りに,MOS-LSI 化 (1969), CMOS
化と液晶化 (1973) と相次いで先駆的開発と製品化をリードし,小型電卓の普及に大きく貢献しました.
詳しくは こちら をご覧ください.
鉄道用自動改札システム
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通勤客の便利向上を図る先駆的な鉄道自動改札装置が,大阪大学と近鉄の共同研究により
1965年に登場しました.引き続いて,オムロン,近鉄,阪急の共同開発によるパンチカードと磁気カードを用いた改良型が
1967年に実用化され,1971年には 19の駅に据え付けられました.
詳しくは こちら をご覧ください.
黒部川第四発電所
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黒部川第四発電所とその関連設備は,関西電力の全社的な不屈の努力により
1963年に完成しました.このような巨大施設の開発に発展した先駆的な仕事が,戦後の産業発展と生活の質の向上に大いに貢献し,深刻な電力不足と増大する電力需要に対して安定した電力供給を行なうことにもまた大いに貢献しました.
詳しくは こちら をご覧ください.
太陽電池の商業化および産業化
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1959年の単結晶太陽電池の研究開始から
1983年のアモルファス太陽電池の大量生産までの,人工衛星から灯台や住宅応用にわたる総ての用途に対する太陽電池の開発と商業化に専念したシャープの先駆的な仕事は,太陽電池技術の産業化だけでなく地球温暖化の防止にも大いに貢献しました.
詳しくは こちら をご覧ください.
日本の一次·二次電池産業の誕生と成長
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合資会社屋井乾電池は 1893年に屋井電池発明特許を取得し,日本の乾電池産業を誕生させ,その発展に貢献しました.この偉業を継いで,株式会社
GSユアサとパナソニック株式会社は,産業機器および家電製品に搭載する第1次・2次電池の巨大市場を開拓し,日本の電池産業および家電産業を発展させました.
詳しくは こちら をご覧ください.また,こちら (GSユアサ, パナソニック) もご覧ください.
テレビ用 14inch TFT 液晶ディスプレイ
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シャープは,TFT 液晶の量産サイズが 3インチだった
1988年に,テレビ用に 14インチの TFT 液晶の試作に成功しました.
ブラウン管に匹敵するサイズで高画質表示を実現したことで,フルカラーのポータブル
PC 用とみなされていた初期 TFT 液晶産業への他の電機メーカーの参入が促され,TFT
液晶産業の黎明期を迎えました.かつて,1960年代に RCA
液晶グループが予想した通り,それから 20年後,TFT
液晶はブラウン管にとって代わるディスプレイとなりました.
詳しくは こちら および こちら (シャープ) をご覧ください.
MU レーダー (中層超高層大気観測用大型レーダー)
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1984年に建設された京都大学の MU レーダー
(中層超高層大気観測用大型レーダー) は,二次元アクティブ·フェーズド·アレイアンテナシステムを用いた世界初の大規模大気レーダー
(MST; 中間圏,成層圏,対流圏観測レーダー)
で,三菱電機株式会社との共同で開発されました.MU
レーダーにより,連続的で柔軟な大気観測が可能となり,大気科学,レーダー技術の発展に大きく貢献しました.
詳しくはこちら (京都大学 生存圏研究所,三菱電機) をご覧ください.
蹴上発電所
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蹴上発電所は,琵琶湖疏水を利用した日本初の事業用水力発電所です.発電所の建設は
1890年に始まり,1897年に出力 1,760kW の発電所として完成し,水力発電の先駆けとなりました.第二疏水による取水増量や設備更新などで,蹴上発電所は
1936年に 5,700kW となり,日本の産業の近代化に貢献しました.
詳しくはこちら (京都市,関西電力) をご覧ください.
積層セラミックコンデンサ(Ni-MLCC)
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株式会社村田製作所は、安価な金属であるニッケルを採用するとともに誘電体セラミックス材料の開発を行い、1973年に品質と低価格を兼ね備えるNi-MLCCを開発しました。そして、約8年の期間をかけて、材料の実用化と生産工程の構築を行い、1982年にNi-MLCCを量産するにいたりました。
詳しくはこちら (村田製作所 をご覧ください.
レーザーイオン化質量分析計「LAMS-50K」
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島津製作所のレーザーイオン化質量分析計「LAMS-50K」(1988年2月発売)は、「ソフトレーザー脱離イオン化技術を応用した世界初の製品で、分子生物学や医学などの分野に貢献し、新たな診断や創薬へと繋がりました。また、装置開発者の1人である田中耕一氏は、2002年にノーベル化学賞を受賞しています。
詳しくはこちら (島津製作所 をご覧ください.
日本のマイルストーン一覧 (44)
名称 | 贈呈式開催日 |
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レーザーイオン化質量分析計「LAMS-50K」, 1988年 | 2024年11月15日 |
積層セラミックコンデンサ(Ni-MLCC), 1982年 | 2024年3月8日 |
TRON リアルタイム OS ファミリー, 1984年 | 2023年10月14日 |
垂直磁気記録, 1977年 | 2023年10月9日 |
QR(Quick Response)Code, 1994 | 2022年9月26日 |
インバータエアコン、1980-1981年 | 2021年3月16日 |
プッシュプル締結方式を採用したフィジカルコンタクト(PC)接続による光ファイバコネクタ、1986年 | 2021年3月5日 |
世界初の商用信号処理プロセッサ、1980年 | 2020年12月15日 |
大規模遺留指紋照合システム、1982年 | 2020年12月15日 |
高電子移動度トランジスタ HEMT,1979年 | 2018年3月8日 |
屋外用カラー大型表示装置,1980年 | 2016年 5月 11日 |
アンテナにおける自己補対の原理と虫明の関係式の発見 | 2017年7月27日 |
野辺山45m電波望遠鏡 | 2017年6月14日 |
温度無依存水晶振動子 | 2017年3月6日 |
地図型自動車用ナビゲーションシステム | 2017年3月2日 |
蹴上発電所 | 2016年 9月 12日 |
ハイビジョン | 2016年 5月 11日 |
緊急警報放送 | 2016年 5月 11日 |
高品質光ファイバの量産製造技術「VAD 法」 | 2015年 5月 21日 |
MU レーダー (中層超高層大気観測用大型レーダー) | 2015年 5月 13日 |
TPC-1 太平洋横断ケーブルシステム | 2014年 11月 12日 |
20 インチ光電子増倍管 | 2014年 11月 5日 |
電力用酸化亜鉛形ギャップレス避雷管 (MOSA) | 2014年 8月 18日 |
テレビ用 14inch TFT 液晶ディスプレイ | 2014年 6月 10日 |
高圧縮音声符号化のための線スペクトル対 | 2014年 5月 22日 |
日本の一次・二次電池産業の誕生と成長 | 2014年 4月 12日 |
東芝 T1100,ラップトップ PC 開発のパイオニア的な貢献 | 2013年 10月 29日 |
G3 ファクシミリの国際標準化 | 2012年 4月 5日 |
電界放出型電子顕微鏡 | 2012年 1月 31日 |
直接衛星放送サービス | 2011年 11月 18日 |
太陽電池の商業化および産業化 | 2010年 4月 9日 |
黒部川第四発電所 | 2010年 4月 9日 |
太平洋横断衛星 TV 中継 | 2009年 11月 23日 |
高柳テレビジョン | 2009年 11月 12日 |
フェライト | 2009年 10月 13日 |
依佐美送信所 | 2009年 5月 19日 |
日本語ワードプロセッサー | 2008年 11月 4日 |
鉄道用自動改札システム | 2007年 11月 27日 |
世界標準家庭用ビデオ VHS の開発 | 2006年 10月 11日 |
電卓の先駆開発 | 2005年 12月 1日 |
電子式水晶腕時計 | 2004年 11月 25日 |
東海道新幹線 | 2000年 7月 13日 |
富士山レーダー | 2000年 3月 6日 |
指向性短波アンテナ | 1995年 6月 17日 |
【参考情報】
- List of Milestones by Dedication Year (これまでの IEEE マイルストーン一覧)
- Japan Council History Committee 活動 (IEEE マイルストーンの日本での認定記録などがある)
日本のマイルストーンを巡る Technical Tour to Japan (2012/5/20-28)
これらの Milestone を学ぶ機会を提供すべく,IEEE は 2012年 5月に Technical Tour to Japan を開催いたしました.ツアーには海外から 30名近くの大勢の方々の参加があり,参加者の皆さんは故きを温ねることの素晴らしさを堪能し,また互いの新しい交流を深める機会としてくださいました.