自律型ロボットの商用化におけるデザインの考え方と捉え方
松井龍哉/フラワー・ロボティクス株式会社
ここ数年ヒューマノイドロボット「ニート問題」は深刻で、開発者へクリティカルに「技術の社会的な意義」を問いかけられている。(科学技術の研究対象のロボットではなく)商品としての人型ロボットは社会の期待をよそに具体性を持たない人の形をした機械とみなされ現状、市場からは見捨てられたと言わざるを得ない。玩具としての商品価値の可能性だけではもはやなんの活路もない。時代を見抜くプロダクトプランニングが技術開発にとって重要な鍵である。実際、市場に活気がでる事は技術向上にとって大きな進歩の時なのである。市場性をもった自律型ロボットの開発は技術と産業を発達させる意味において急務である。著者らが提唱しているロボットデザインは技術とシステムの生活様式への変換と市場価値での存在意義が本義の中核にある。近年のロボットデザインには、キャラクターデザインと誤解している人や市場を全く置き去りにした開発者の趣味に収まっているもの等本来の「デザイン」を成していない物が見受けられる。そうでなく、市場性を視野に入れた(具体的なユーザーを想定した)ロボットの仕様が、技術と相まって生まれる「力」の表現になっている事がロボットデザインもしくは近代デザインの本義である。故に洗練化された用途が形となり美しさが醸し出される。デザインは技術,システム、生活様式、産業,市場に密接に関わってきた100年の歴史ある学問であり実証技術である。市場性を捉えた総合計画としての「デザイン」のあり方を自律型ロボットの産業化を見据えて解説する。
IEEE 東京支部 Technical Program Committee Chair 栄藤 稔
IEEE 東京支部 Treasurer、オーガナイザ 橋本 秀紀
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