(更新年月日:2024年09月30日)
当Chapter では,IEEE Reliability Society Japan Joint Chapter Awards 制度を創設し,2003年から運用しております.
2023年度の各Awardの受賞者は次の方々です.
対象論文 |
"A Comprehensive Evaluation of Time-Dependent Dielectric Breakdown of CuAl2 On SiO2 for Advanced Interconnect Application" IEEE Transactions on Device and Materials Reliability, Vol. 24, No. 1, pp. 14-19, March 2024. |
受賞理由 | 本論文は,現在我が国で技術開発や生産体制の急ピッチな立ち上げが進められているBeyond 2nmの技術ノードの半導体デバイスにおいて,電気抵抗率低く,高信頼なCuAl2配線の時間依存絶縁破壊(TDDB)の包括的な研究成果を報告したものである.SiO2との反応によって適切な厚さのAlOx界面層が自己形成され,CuAl2/SiO2における優れたTDDB信頼性が観測されることを示している.またTDDBと同じ条件下で応力を加えたCuAl2における電子輸送メカニズムを解明するため,電圧ランプ試験のリーク電流と電圧の関係から,SiO2へのCuイオンのドリフトを明らかにし,SiO2を横切る電子輸送メカニズムとしてショットキー放出が生じ,その結果としてのCuイオンの蓄積が最終的にTDDBの故障につながることを解明している. |
対象論文 |
"Non-homogeneous Markov Process Modeling for Software Reliability Assessment " IEEE Transactions on Reliability, Vol. 72, No. 4, pp. 1540-1555, December 2023. |
受賞理由 | ソフトウェアの信頼性を評価するために,非⻫次ポアソン過程モデルと⻫次マルコフ過程モデルを統一的に扱うことができる非⻫次マルコフ過程に基づいた統一的なモデル化の枠組みを与えている.そのモデルの特殊ケースとなる一般化二項過程と一般化ポリア過程について,フォールト発生時刻を観測した時間データとある時刻までのフォールト数を観測したグループデータに適用して,実データを用いてNHPPとの推定精度の比較及び評価を行っている.さらに,これらのモデルをソフトウェアの最適リリース問題へ適用したときの最適リリース時期についても議論している. |
対象論文 |
"Conditions for Monotone Maintenance Policy in Partially Observable Markovian Systems with Population Heterogeneity" The 13th International Conferencwe on Quality, Reliability, Risk, Maintenance, and Safety Engineering (QR2MSE 2023) |
受賞理由 | 本研究は、等間隔の時間にセンサーを用いて劣化状態を部分観測するシステムと、異なる劣化則に従う複数の母集団からのサンプルとみなせる交換部品に対して、部分観測マルコフ決定過程を用いて無限期間の総期待割引費用を最小化する保全方策を導いた。また最適方策の性質として、特定の条件下で費用がユニット種別確率ベクトルや劣化状態確率に対して非減少であることを示し、最適保全方針の単調性を導く十分条件も提示した。 |
開発課題名 | "Development of Reliability Technology for Color Electrophotographic Imaging Devices and Inkjet Imaging Devices(カラー電子写真作像装置/インクジェット作像装置の信頼性技術開発)" |
受賞理由 | 門田氏は株式会社リコーに入社以来,品質保証部門信頼性関連部署に所属し,電子デバイス技術やプリント基板実装技術に関連する信頼性保証技術開発に従事した.特に,カラー電子写真作像装置やインクジェット作像装置における信頼性向上に取り組んだ中で,機能性高分子表面の特性変動と劣化トレンドを明確化するため,表面分析装置(XPS,SIMS等)や原子間顕微鏡の応用技術開発や,トナー構造の高分子材料の分散状況を可視化するTEMやSEMによるナノ分散解析技術など数々の故障解析技術を開発した.また社内の活動にとどまらず,電気・電子業界全体の信頼性技術の底上げのため,学協会における技術の展開・発展と,次世代の技術者育成に貢献した. |
開発課題名 | "Development of Theories of Reliability Engineering and Industrial Engineering(信頼性工学及び経営工学の課題における理論的解法提案)" |
受賞理由 |
長年にわたる,信頼性工学及び経営工学の課題における評価と最適化の理論・方法論の先駆的な研究を実施・先導した業績と,その成果を社会実装するために普及・啓蒙する活動への貢献,並びに次世代の人材育成に関する尽力に対して.
1. 信頼性工学の信頼度評価技術発展に寄与され,特に連続型k-システムと呼ばれる故障カットに特徴のあるシステムの研究を深化し,実社会におけるシステムの評価を可能とする数々の成果を示した. 2. 我が国の信頼性工学の教育と発展を担う,多くの研究者を輩出した. |
授賞式および講演会は2024年9月8日(土曜日)にハイブリッド(Zoomを利用)にて執り行われました.
(写真は授賞式で撮影したものです)
【IEEE Reliability Society Japan Joint Chapter 論文賞】
Toshihiro Kugo 氏
Siqiao Li 氏
【IEEE Reliability Society Japan Joint Chapter 学術奨励賞】
糟谷 瑞希 氏
【IEEE Reliability Society Japan Joint Chapter 信頼性技術功績賞】
門田 靖 氏
山本 久志 氏