IEEE EPS Japan Chapter Young Award 表彰式の報告
ICEP2017において,ICEP2016の際に優れた発表を行った若手技術者に対して,IEEE EPS Japan Chapter Young Award の表彰を行いました.
1.表彰対象者 3名
(1)受賞者 : Aya Kasahara
所 属 : Hitachi Chemical (Japan)
論文タイトル : WD1-3 Ultra Low Loss Build-up Film for Fine Pitch Applications
【推薦文】
本論文は、半導体パッケージに用いるビルドアップ基板における高速伝送のための絶縁層となるビルドアップフィルムに関し、プライマ層とマトリックス層からなる新規構成材料を開発し、機能発現メカニズムやその効果について示されたものである。この材料は、レイテンシおよび誘電損失を低減できる電気特性を持たせるとともに、高密 度化のための微細配線形成と導体損失低減のためのフラットな配線形状かつ密着性向上の両者を併せ持つこ とのできる絶縁層を見出した。電気的・機械的課題を合わせて解決しており、工業的にも有効である。また、論 文の構成、プレゼンテーションの内容、質疑応答においても優秀であったことから、ヤングアワードに推薦する。
(2)受賞者 : H. W. Yang
所 属 : National Taiwan University (Taiwan)
論文タイトル : TD4-2 Morphological evolution induced by volume shrinkage in micro joints
【推薦文】
本論文は、Ni UBM/ Sn系はんだ/Ni UBMを用いてφ7.5umというMicro bump接合した後の熱エージン
グでCuを介在しない無鉛はんだ接合において高温保存下でNi3Sn4 IMCが扇状に成長し、その周りにあるSn がNi3Sn4成長に消費されるためVoid発生するメカニズムを示しており、Ni3Sn4 IMC形状やVoidの形状の 報告に新規性があり今後のMicro bump接続研究の参考になりえるものである。また論文構成、プレゼンテー ション、質疑応答において優秀であったため、本論文をヤングアワードに推薦する。
(3)受賞者 : Sean Yang
所 属 : National Taiwan University (Taiwan)
論文タイトル : FD2-4 Bonding of Copper Pillars Using Electroless Ni Plating
【推薦文】
本論文は、無電解Ni めっきによりCu ピラー間を接続する技術であり、低温、無荷重で接続ができ、Cu ピラー間で一定の位置ズレを許容できる利点がある。電解めっきによりCu ピラー先端をドーム状に形成したチップを 向かい合わせて、Cu ピラー間にギャップを作った状態でエポキシ樹脂により固定し、無電解Ni めっきを施す。め っきはビーカー内でのめっきと、PDMS で流路を作ってめっき液を供給する方法が試され、めっき液に添加剤を加 えることで、めっき液の流動性を良くし、内側へのめっき成長を促進する。また、Cu ピラー先端をドーム状とするこ とでピラーの角部の成長速度が速いことによるピラー内部の空洞を防いている。ビーカーによるめっきでは、水素イ オンが残ることでピラー間につなぎ目が残るが、マイクロ流路とポンプを用いてめっき液の流量を制御することで、ド ーム状ピラーの接合においてシームレスの接続を可能とした。このように本論文では、無電解Ni めっきによりCu ピラーバンプ同士を接続する新たな手法のフィジビリティが示されており、従来の熱や荷重を加える接続方法で問 題となっていた半導体素子への物理的ダメージを大幅に低減できる可能性が示されたことは、産業応用の観点 から大きな意義を持つ。また論文の構成、プレゼンテーションの内容、質疑応答の全てにおいて優秀であったため、 本論文をヤングアワードに推薦する。
集合写真
2.ICEP2017の概要
- 開催日時:2017年4月19日~22日
- 開催場所:ほほえみの宿 滝の湯(山形)
- 主催:IEEE CPMT Japan ChapterとIMAPS/(社)エレクトロニクス実装学会の共催