IEEE CPMT Japan Chapter Young Award 表彰式の報告
ICEP2016において,ICEP-IAAC2015の際に優れた発表を行った若手技術者に対して,IEEE CPMT Japan Chapter Young Award の表彰を行いました.
1.表彰対象者 3名
(1)受賞者 : Risako Kibushi
所 属 : Toyama Prefectural University (Japan)
論文タイトル : WD1-2 Thermal Properties of Power Si MOSFET by Considering Electron-Phonon Scattering using Monte Carlo Simulation
【推薦文】
本論文は、モンテカルロ法を用いたSi MOSFETの熱解析において、エネルギー緩和時間が熱物性に及ぼす影響を検証している。デバイスの2次元モデルを作成し、付加電圧を5 - 50 kV/cmとして解析。その結果、実用的な範囲においては、エネルギー緩和係数の影響は小さいことが示されている。デバイス内部の温度分布の予測技術は、重要な課題の一つであり、今回の結果はその課題解決に向けた有用な知見の一つである。発表 とその後の質疑応答においても優秀であったため、Young Awardに推薦する。
(2)受賞者 : Y. Mei
所 属 : Tianjin University (China)
論文タイトル : FA4-2 Relationship between transient thermal impedance and shear strength of pressureless sintered silver as die attachment for power devices
【推薦文】
本論文では銀ナノ粒子ペーストを用いた無加圧焼結により作製したダイアタッチにおける過渡熱インピーダンスとシェア強度との相関性を明らかにした。本著者は、ナノ粒子ペーストの焼結プロセスを独自の手法で制御することで、き裂等の欠陥を含まないダイアタッチを実現した。さらに、この接合部の過渡熱インピーダンスとシェア強度の関係を表す経験式を見出した。この経験式により過渡熱インピーダンスの測定による接合強度の非破壊試験を実施できる可能性があり、今後の展開が期待される。また、論文の構成、プレゼンテーションの内容、質疑応答も優秀であったのでヤングアワードに推薦する。
(3)受賞者 : Hiroshi Itakura
所 属 : Mitsubishi Electric Corporation (Japan)
論文タイトル : FD4-3 The Study of Suppression Method for Power Radiation between GND Planes from Signal Via in Multi-Layer Board
【推薦文】
本論文は、プリント回路基板の高速信号伝送特性を改善するための、GND層に独自パターンを導入した新しい信号ビア構造を提案しており、電磁界シミュレーションにより、従来ビア構造において、30-50GHzの高周波領域で放射損失が増加する現象を明らかにするとともに、独自の信号線とGND間のクリアランスパターンを有する新ビア構造を採用した場合、大幅に放射損失が低減し、高周波伝送特性が改善できることを示した。本論文の研究内容は、次世代のプリント回路基板に求められる56Gbps級の高速伝送特性の実現に向けて、非常に有用であり、また論文構成、プレゼンテーション、質疑応答において優秀であったため、本論文をヤングアワードに推薦する。
集合写真
2.ICEP2016の概要
- 開催日時:2016年4月20日〜22日
- 開催場所:札幌教育文化会館(北海道)
- 主催:IEEE CPMT Japan ChapterとIMAPS/(社)エレクトロニクス実装学会の共催