IEEE CPMT Japan Chapter Young Award 表彰式の報告
ICEP2011において,ICEP2010の際に優れた発表を行った若手技術者に対して,IEEE CPMT Japan Chapter Young Award の表彰を行いました.
1.表彰対象者 4名
(1)受賞者 : Yoshiki Nakashima
所 属 : NEC (Japan)
論文タイトル : WB1-3 "Study on the Warpage Mechanism of Thin Embedded LSI Packages"
【推薦文】
薄型化したLSIデバイスを埋め込んだBGAパッケージにおける反りの問題を扱った論文である。
銅板で補強された薄化LSIデバイス埋め込みコアレス樹脂基板を用いて、銅板を薄型化した時の反り量について、
試作実験によるデータ取得およびFEMシミュレーションによるメカニズム解析を行ったもので、
その先駆的な取り組みが評価できる。以上の理由によりヤングアワードに推薦する。(推薦:青柳)
(2)受賞者 : Hirohisa Narahashi
所 属 : Ajinomoto (Japan)
論文タイトル : WC1-2 "Novel Thin Copper Transfer Films for Fine Line Formation of PCB Substrates"
【推薦文】
通常の配線板では、導体材料と絶縁材料とは主にアンカー効果により接着強度を確保している。
しかし、このアンカー効果を得るために導体材料が厚くなってしまい、
次世代微細配線に対するパターン形成においては不利となっていた。
本論文は新規に開発したビルドアップ材料とプリプレグ材料の開発内容
(従来より熱膨張係数が半減、誘電正接が小)とその評価結果を報告している。
化学結合によって薄い銅導体でも十分な接着強度を確保し、
線幅/スペースが12/12μmという微細配線も達成できたという、
実用性の高い研究報告であると評価し、ヤングアワードに推薦する。(推薦:島田)
(3)受賞者 : Akira Matsuda
所 属 : Kyoto University (Japan)
論文タイトル : TD1-2 "A Method of Package-Equivalent-Circuit Modeling for PCB-Package Co-Design"
【推薦文】
本論文は、プリント配線基板上に置かれた半導体パッケージの内部回路パターンの電気特性の解析手法を述べている。
等価回路モデルを用いた解析において、パッケージとプリント配線基板間のカップリング容量を考慮した手法を提案している。
本解析手法により得られた結果を三次元電磁界解析で得られた結果と比較することにより、
解析精度が十分であることを示している。
解析精度の向上と解析時間の短縮が可能な手法を提案したことから、
ヤングアワードに推薦する。(推薦:日浦)
(4)受賞者 : Tomoyuki Hatakeyama
所 属 : Toyama Prefectural University (Japan)
論文タイトル : TD4-2 "Reduction of Thermal Resistance for Spray Cooling Technology by Using Super Thermal Conductivity Material"
【推薦文】
高い発熱密度をもつ3次元LSIのウエハーレベルの試験を想定した間接冷却構成を提案し、
間接冷却部とウエハーの接触部に生じる接触熱抵抗の影響を、実験的評価に基づき定量的に示している。
本研究では、接触部分の微小な空隙が試験時の間接冷却に大きな影響を持つことを示すために、
接触面に 液体を満たすことで、接触熱抵抗を最大約3分の1に低減できる知見を得ている。
接触熱抵抗の測定方法については、学術的にも裏付けられた手法を用いている。
新たな試験方法として実用化するために重要な技術であり、ヤング・アワードに推薦する。(推薦:坂本)
集合写真
2.ICEP2011の概要
- 開催日時:2011年4月13日〜15日
- 開催場所:奈良県新公会堂(奈良市)
- 主催:IEEE CPMT Japan ChapterとIMAPS-Japan/(社)エレクトロニクス実装学会の共催
- 概要:
ICEP(*1)は, 実装技術分野における国内唯一の国際会議であり,
IEEE CPMT Japan ChapterとIMAPS-Japan/JIEP(*2)との共催で,
毎年4〜6月に開催される。ICEP2011では,2つのキーノートセッション,
46のテクニカルセッションとポスターセッションで170件以上の発表があり,
米国,日本からの第一線の技術者による招待講演も実施され,
国内外の最新の実装技術について議論が行われた。
*1 ICEP: International Conference on Electronics Packaging
*2 IMAPS: International Microelectronics and Packaging Society
JIEP: Japan Institute of Electronics Packaging (社団法人 エレクトロニクス実装学会)