講演・パネルディスカッション:「若手女性リーダーたちと語ろう!」(2011年10月15日)
2011年10月15日,お茶の水女子大学,ICTMT研究推進委員会およびIEEE JC WIEが主催する講演・パネルディスカッション「若手女性リーダーたちと語ろう!」が文京区のお茶の水女子大学で開かれました.本イベントは文京区および内閣府男女共同参画局にも後援として協力して頂き,約90名の参加者の中,3つの講演とパネルディスカッションが行われました.
会議の冒頭では,まず野田夏子NECサービスプラットフォーム研究所主任研究員の総合司会のもと,実行委員長であるIEEE JC WIE Chair 2008-2009 / リコーITソリューションズ株式会社取締役会長執行役員の國井秀子氏および共催のお茶の水女子大学長の羽入佐和子先生から開会の挨拶がありました.
その後,一つ目の講演として,お茶の水女子大学副学長の鷹野景子先生より「“みがかずば”の理念に基づく女性リーダーの育成」というタイトルの講演が行われました.その中で鷹野氏はお茶の水女子大学における女性リーダー育成の理念やその取り組みについて述べられました.また二つ目の講演として,成澤廣修文京区区長より「文京区における女性リーダー育成と子育て支援〜イクメン区長の経験から〜」というタイトルの講演が行われました.成澤区長は昨年,長男の育児のために二週間の休業を取り,自治体の首長としては全国で初めての育児休暇を取得しました.講演の中で区長は,育児休暇を取得した理由として,これまで文京区では男性職員の育休取得がゼロだったため,その道筋作りをしたかったと話され,現在では子供が生まれた男性職員には必ず育休制度を説明するといった具体的な取り組みについても紹介されていました.三つ目の講演では,日本学術振興会を通して助成されている最先端・次世代研究開発支援プログラムに採択されたNTTコミュニケーション科学基礎研究所の小杉尚子氏より「女性の感性からの発想―情報通信技術を用いた音楽療法―」と題して講演が行われました.講演では,情報通信・情報通信処理技術を用いて音楽療法の効果を明らかにすることで高齢者の自立や介護負担の軽減を支援するという研究紹介がなされ,講演の途中では会場の参加者全員で「ふるさと」を歌い,音楽の力を再確認する機会もありました.
本イベントでは,「ワークライフバランスが女性リーダーを育てる」というテーマでパネルディスカッションも行われました.ファシリテータにIEEE JC WIE Vice Chairを務める千葉商科大学橋本隆子准教授,パネリストとしてお茶の水女子大学生命情報学教育研究センターの岡村浩司特任講師,同大大学院博士後期課程在学中の間野晶子氏,文京区から佐藤正子男女恊働子育て支援部長,株式会社インターネットイニシアティブ技術研究所の新麗主任研究員,株式会社ピコサーム石川佳寿子代表取締役社長の5人を迎え,それぞれの視点からワークライフバランスに対する考え方を述べ合いました.またパネリストたちは,リーダーシップの取り方,キャリア形成に対する次世代へのアドバイス,ワークライフバランスへの意識といった会場からの質問にも真摯に答え,有意義なディスカッションが行われていました.その後の意見・情報交換会では,直接講演者やパネリストを囲み,それぞれの経験を交えた熱心な意見交換が行われていました.
本イベントを通じて,女性がリーダーシップを取ることの意義やワークライフバランスを取っていくことの重要性を再認識しました.IEEE JC WIE では今後もこうした活動を通じて女性研究者・技術者のキャリア構築・ネットワーキングを支援していきたいと考えています.